子育て期のデンタルケア
2015/09/10
今回は、出産・子育て世代に入ってくる25歳ぐらいから40歳ぐらいまでのお話をします。
この時期は、以前お話した青年期から引き続き、『歯周炎』の進行がゆっくりと進む時期です。
『歯周炎』とは、かつては「歯槽膿漏」と呼ばれた歯周病の症状のことです。
もしかすると、歯槽膿漏という言葉のほうが馴染み深いという方もいらっしゃるかも知れませんね。
この時期は、仕事や家庭に忙しくなる時期でもあり、歯や歯ぐきに痛みや不快感がなければ、自分の歯や口の健康にあまり関心が向きづらい年代と言えます。
食事の時間が不規則になり外食が増加することで栄養の偏りや、喫煙や糖尿病といった生活習慣病リスクが増える中、自身の健康管理がおろそかになりがちな時期とも言えます。
このような環境は、全身の健康面でリスクを高めるのはもちろんのこと、むし歯や歯ぐきの健康状態にも最もリスクが高まる時期です。
歯周病は、中高年を中心に症状がみられる病気と思われがちです。
しかしながら、最近の調査で分かっていることは・・・
・ 15~24歳の6割
・ 25~34歳の8割
が、程度の差こそあれ歯周炎になっているという報告があります。
また、厚生労働省の歯科疾患実態調査によれば、20歳代前半までは大部分が歯肉炎(歯ぐきの炎症、ごく軽度の歯周病)の症状であるものの、20歳代後半以降から歯周炎(歯槽膿漏)へと年齢とともに症状が重くなっていることが分かっています。
では、すべての人が年齢を重ねるとともに歯周病になり、症状が重症化するかと言うとそういうわけではありません。
何歳になっても、健康な歯ぐきの状態を守っている方も数多くいらっしゃいます。
このことから考えると、青年期から壮年期と言われるこの時期をどう過ごすかで、将来、歯で悩まされるかどうかが決まってくるとも言えます。
若いから大丈夫と慢心せずに、ご自分の将来のためにも、歯とお口の健康や生活習慣についてあらためて考えてみて欲しいと思います。
そして、痛みや異常がなくても定期的に歯医者さんに通って、年に数回は歯やお口のチェックとクリーニングをしてくださいね!
特に、女性の場合は妊娠・出産の時期にあたりますので、子どもへのむし歯菌の感染を防ぐためにも、口腔内の衛生に気を配ることがとても大切なことです。
妊娠・出産と歯の健康に関するお話は、また次の機会に。
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