思春期のデンタルケア
今回は、思春期のデンタルケア、12歳~18歳ぐらいの時期のお話をします。
12歳になると、永久歯がかなりそろってきます。
しかし、この時点で、永久歯に平均2本のむし歯があるという報告があります。
思春期に入ってくるこの時期は、声変わりを始め体の変化が生じるだけでなく、自我への目覚めや社会生活への興味や関心が広がる時期です。
成長にともなって、友人との外出時の飲食や夜更かしでの間食の増加など、歯とお口の健康に良くない習慣を身につけてしまいがちな時期です。
一方で、親御さんの目が届きにくくなり、せっかく学童期に身につけた歯みがきの習慣も怠りがちになるため、むし歯が増えやすい年代でもあります。
思春期のむし歯予防のポイントは、歯みがきの習慣をもう一度身につけ直すこと。
きちんとセルフケアを実践することでお口を健康に保ち、むし歯を防ぐようにしましょう。
また、永久歯がだいたい生えそろうこの時期の問題はむし歯ばかりではありません。
近年の傾向として、歯肉炎などの歯周病が若年層にも拡がりつつあります。つまり、歯ぐきの状態にも気をつける時期に入ってきます。
12歳~14歳の子どもの4割以上が歯肉炎を起こしているという報告もあります。
もともと思春期は、ホルモンの不調和によって「歯肉炎」が起きやすい時期なのですが、それに加えて食生活の変化が大きく影響していると考えられています。
歯肉炎の初期は、痛みもなく気づきにくいことがほとんどです。
それゆえについ見逃しがちになるのも、思春期世代の歯肉炎の特徴でもあります。
中学生になると勉強や部活動で忙しくなり、小学生の頃と比べると定期的に歯科医院に通ってケアを受けるという習慣も薄れがちで、重症化して痛みが出るような状態になってから初めて歯科医院に来るということも少なくありません。
歯みがきの前に鏡を見ながら歯肉のセルフチェックをする。
ときどきは歯科医院でチェックとクリーニングを受ける。
この2つを実践して、早期発見と予防を心がけることが大切です。
自我が芽生え始めるこの時期だからこそ、自ら積極的に歯とお口の健康を守るための良い習慣を身につけるために大切な時期です。
もう一度むし歯や歯肉炎に対するリスクについて考える時間を親子で作ってみてはいかがでしょうか?
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